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逆サイドサプレッションを上手く取るには(Swept Sine)

オーディオもRFもPSNは準備できた。逆側SSBの落とし方は?通常は
2トーン信号を例えば LSB側に入れUSB側を受信機で聞いて2トーン
の音が最小になるように加算器のボリュームを調整する・・・
でしょうか?これでは1000Hzとか1500Hzとかの2点のみの追い込
みとなってしまします150Hzも800Hzもおそらく2トーン周波数の
ように逆サイドでは落ちているはず・・・だと、希望的観測です。
左の画面はスウェプトサイン波を0Hzから5KHzまで送信機に入力
してダミー負荷に送信、モニター受信機からのオーディオ信号を
FFTで観測したものです。(私の送信機のF特が出ています)
swept sine波は高調波を含まないサイン波でありながらその
発振周波数はある決められた範囲でスイープするもので、
言わばオーディオ発信機のつまみを人の手で20Hzから5KHzまで
何回もキュ、キュと回したときの波形という感覚です。
このスウェプトサイン波で逆サイド調整をするとほぼ低周波帯域
全体を反映したものになります。少し高級なファンクションジェネレータやFFTにはこの機能が付いていると思いますが、
手持ちがない人のために20Hzから4KHzまで、また20Hz〜300Hzまでスウィープするテスト信号(mp3ファイル)をアップロード
しています。周波数はゆっくり移動して端まで到達するとそこからまた逆の方向に反転します。所謂シャトルスイープです。
キュー、キューと聞こえる低周波のスウィープ音が逆側で聞こえなくなるようジェネレータを調整してください。
周波数はゆっくり移動しますからカウンターを繋いでおけばどの周波数辺りでサプレッションが悪いかわかります。またサインの
レベルは全領域で一定なのでRF電圧計を見ていると送信機の周波数特性がわかります。ホワイトノイズで調整するという方も
いますが、入力したノイズか受信機そのもののノイズか区別が難しくうまくいかないでしょう。ツートーンでSSB調整した後の、
仕上げとして音域全体のサプレッションを確認する方法としても便利なツールになります。
この下から A)〜C)の音源を mp3形式 でダウンロードできます。

A) 20-4000HzのSweptSine10秒でスイープ B) 20-4000HzのSweptSine3秒でスイープ
C) 20-300Hzの低域のみのSweptSine、5秒でスイープ

コモンモードノイズ(高周波)検出器

送信機のマイクに高周波が回りこむ、モニター受信機にハムが乗る。 あちこちに張り巡らせたコード、コード。どの線に高周波が誘起
しているのか、なかなか見つけるのは大変です。オシロスコープ他の100VACラインにつながっているもので検出しようとしても、それ自体
に回りこみがあるかも知れずあてになりません。他の機器から完全にアイソレーションが取れた電池式の高周波検出器が必要になります。
「パッチンコアー」に2,3回エナメル線などを巻きこれを入力としてFETの高入力インピーダンスで受けます。TRで増幅して100uAメーター
を振らせま。測定時はこの検出部で同軸ケーブル、電源ケーブルなどを挟み込み高周波電位の高い部位を
見つけます。そこにコアーをセットしてやればアース同士の高周波的結合が切れて共通インピーダンスが開放されます。

   
 

アイソレーションのよくとれた高周波アンプですから、例えばファイナルのリニアーアンプの中和調整で出力側に漏れてくる高周波の検出器
として利用できますし、アンテナをつければ電界強度計としても使えます。

コモンモードという概念

上記で高周波のコモンモード検出器の製作を記述しましたが、さてコモンモードあるいはコモンモードノイズとは 何たるか、
その概念はかなり難しい領域の話のようです。
ただ私たちアマチュア無線家にとっては送信機の回り込み (しゃべるとガリガリ、ブチュブチュ etc.)などの現象でおなじみの
もので、それならばと、同軸ケーブルのあちこに、さらにACケーブルやマイクコードのあちこちにパッチンコアーを挟んで
トラブルを抑え込んでいる現実を考えれば、それがコモンモードの回り込みであれ何であれ、いろいろな回路に電波が乗っている事を
無意識に理解しています。
頻度は少ないかも知れませんが、受信時においてもあちこちの電気製品からでるノイズもコモンモードノイズの場合があります。
端的に結論を言えば「導体のある点(A)と別の点(B)の間に電位差がある場合(A)と(B)の間に同相電流が流れる」状態が
コモンモードということです。
(【注意】 空電ノイズは受信すべき電波と同じくノーマルモードで入力されるのでコモンモードノイズではありません。)

上の図はあるメーカーのホームページ
から拝借したものです。左側が
ノーマルモード、あるいは
ディファレンシャルモードと言われれる
ケーブルの接続で、送信側も受信側も
お互いのアース電位に差がない状態
(E1とE2が同電位)なので、シールド線
で言えば芯線と外皮に流れる信号は
それぞれ逆相となり、お互いに打ち
消しあって相殺され、信号源の「S」
そのまま出力の負荷に現れます。
(信号が高周波の場合はこの状態では
シールドケーブルから電波は輻射
されないということです。)
これに比べ右図の場合はE1とE2に電位の差が出来、これが原因でケーブルを通過する信号とは無関係に別のルートを経由して
外皮に電流が流れてしまいます。別ルートは大地のこともあり、色々なストレーキャパシティーということもあります。
つまりこの時の外皮(シールド線)を流れる電流の向きは同位相で、通常は何らかのノイズ(図中のN)が混入され
負荷には「S」+「N]で表されるノイズが重畳されることになります。
具体例を挙げれば、あるTRやオペアンプの入力ポイントから見て、シールド線の向こうのSSBジェネレータやCDプレーヤーの
アース電位が自己のアースポイントの電位と同じでなければ(E1とE2の電位が異なれば)ここにシールド線を経由する電流が流れます。
(低周波の場合は大抵は相手のプレーヤーもAC電源に繋がっています。)
高周波の場合でも送信時にはアンテナに給電する同軸ケーブルは勿論、あちこちにぶら下がるあらゆる導体に、大地や目に見えない
様々なルートを経由して同相電流がながれ、色々な"いたずら"を起こします。導体のある場所とある場所に電位差があればそこに電流が
流れるのは当然です。どうすればいいでしょうか?
電位差があっても電流が流れないようにすれば良い訳で、何らかの方法でアイソレーションを取ることです。
つまりシールド線の外皮、或いはあちこちの電線を不要な電気が流れないようにその通路を断ち切ればいいのです。

外皮に流れる電流をストップさせる方法は高周波の場合はフェライト
コアーに同軸ケーブルを数回巻き付ける方法が一般的です。
電源ケーブル、マイクケーブル、その他は所謂「パッチンコアー」が
簡単です。ただし透磁率の低いコアーでは十分な高周波的抵抗
(インダクタンス)が得られず、一か所だけでなく前項で作製した
コモンモード検出器で電圧が高い場所をくまなく探して退治する必要
があるでしょう。
さて、高周波に関しては馴染みの方法でいいのですが
低周波での対策はどうすればいいのでしょう?

その前に低周波領域のコモンモードノイズって何じゃ?
と思われる御仁も多いのではないかと思います。
実際に私が経験した低周波コモンモードノイズの例を挙げます。
パソコンのオーディオ出力端子からシールド線で自作のPSN
送信機に入力しテスト的に音楽を流していたときです。
曲の信号が入っているときにはノイズなどの混入のような違和感
なく送信できていたのですが曲が終わり入力ボリュームを最小に
絞ったときです。聞いているモニター受信機からはかすかに
静かな雑音が聞こえるはずだと思っていたのですが、
あにはからんや、ハム音とも違うかなりの低周波のうねりの
ような「ブーン」という音がきこえるのです。
さてさて、色々しらべると曲をかけるかけないは関係なく
ミニジャックをパソコンにつなぐだけで低音ノイズが発生し、
同じ事は50Ωのダミーロードに出力しても出ています。
結局パソコンとのケーブルを外せばノイズはピタリと止まりました。パソコンからのシールドケーブルにコモンモードノイズが重畳していた訳です。
私は低周波領域のコモンモードノイズには無頓着でしたがこんな現象に巡り合わせて改めてコモンモード、あるいは共通アースと言っても
同じ意味ですが、その存在を思い知らされました。結局シールド線の外皮、つまりアース電位をを低周波的にジェネレータとパソコンを
切り離す必要がありました。写真のように600Ω:600Ωの低周波トランスを挿入しアースラインを隔離することで妙なノイズはピタリと
止まりました。

いま述べたことを模式的に表示すると上の図のようになります。低周波トランスの掩体はどちらかのセットのなかでアースすればいいかと
思います。不要なコモンモードの電流を流さないために、セットどうしの接続は問題のある共通アース、共通インピーダンスにならないように
設定して、システムごとのアイソレーションを保つことがが大切です。

マイクなどで平衡型の場合は上図のように結線すればいいかと思います。
低周波のコモンモードノイズはレベルが微少でほとんど気付くことはないでしょうが、音質のうんちくを述べる方は一応チェックしてみては
いかがでしょう?バッテリーで動いているアイテムよりACから給電を受けている装置どうしの方がこの現象は起こり易そうです。

受信機Sメータと電圧、dBmやdBuの関係 間違って理解されている人が多いです。

あるQSO、100Wを1KWにしたらSはいくら上が
るんだ?電力10dB上がるんだからSは20dB
上がるんじゃない?!そうではありません。
答えは10dBの増加、Sにして2弱の上昇です。
で、ここからSメータとデシベルの話です。

「S9」はアンテナに受信機の負荷を付けない
オープン電圧で100uV、50Ω負荷の状態で
は50uVを誘起する電圧という定義があります。
50Ω、50uVは電力で表すと50pW、dBm表記
では-73dBmとなります。
以下、S8と1つ下がるごとに6dB低下し、S9
以上は 9+何dB の表記になります。
S9はSGから34dBuを50Ω負荷つないだ状態
なので、SGのオープン電圧(emf:SGの表示)
では40dBuを出力する必要があります。
受信機側でSが1つ下がると相手側送信機の
出力の電圧は1/2になり電力は1/4
になります。デシベル表示で示すと両者とも
6dBのダウンです。Sが1つ上がる(6dB)と
送信機側では出力電力は4倍になり出力電圧
は2倍(√4)になっています。
Sが半分上がる場合は電力が2倍になり電圧が√2倍になる結果、両者とも3dBの増加するときです。これは例えば100W送信機を200Wにした
場合に生じる結果です。電力が10倍になると電圧は√10倍になり、電力も電圧(Sメータ)も10dB増加します。ややこしいでしょうか?
以下にその理屈を説明します。

 ☆誤解を生む表   ☆理解しやすい表
   

ある局長曰く、一般的なデシベル表を見ると2倍は電圧 6dB上昇し
そのときの電力は3dB増加 だから電圧が6dB上がると電力は3dB
上がるのだ。つまり電圧の6dBと電力の3dBは同じ現象を表す
のだ、と。
説明にLogや指数関数が出て、数学的になり恐縮ですが、
確かに電圧比の場合 dB=20*Log10(A/B)より A/B=10^(dB/20)
なのでdB=6ならばA/B = 10^(6/20) = 2で電圧 Bに対して電圧Aは
2倍です。電力比の場合 dB=10*Log10(A/B) なので A/B=10^(dB/10)
となりdB=3ならば A/B=10^(3/10)=2 で電力Aは電力Bに対して2倍。
正しいです。電圧比が2倍なら電圧比は6dB、電力比が2倍なら
電力比は3dB。ここまでは正しい理論です。
では電圧が2倍(6dBアップ)になったとき電力は何倍になるか?電力比はどれだけ上がり、電力は何dB増えるか?ここが問題です。
電力PはP=V*Iなので変形するとP = V*V/R = V2/R 。AとBの電圧ををV1,V2に書き換えると、電力比=(V12/R)/(V22/R)。
Rは消去して、残りは(V1/V2)2なので、V1/V2=2なら電力は2倍ではなく4倍になる。つまり電圧が2倍になれば電力は電圧比の2乗倍になる
ということで、ここは2の2乗で4倍です。
電力比で表現すると dB = 10*Log10(4) = 6。つまり電圧が2倍になったとき電力は4倍になりデシベル表示すると6dBアップしたことになります。
残念ながら旧来の表が対比させている3dBアップにはならない訳です。
こういう訳で、dB表記で電圧比、電力比を表す場合は電圧も電力も同じ数値変化をします。
電圧が10倍になれば電力は102倍の100倍。デシベルで表せばどちらも電圧も電力も20dBのアップです。
左の(変な)表は電圧同士・電力同士で計算すれば正しいデシベルが表現されるのに、全く性質の違う電圧と電力を同じ土俵に乗せて
さも相互に関係があるがごとく 電圧6dB=電力3dB のような表記をしたため誤解を生じたのだと思います。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
dBmは1mWを0dBmとした電力のデシベル表記で高周波領域ではよく使用されます。50Ωの負荷では電圧V=√(P*R)の式より、
0dBmは223.6mV (107dBu) となります。回路全ての表記をdBmで表現すれば上記のような間違いもなくすっきり理解がすすむと思います。

dBuは1uV(マイクロボルト : 10-6V)を0dBとした電圧のデシベル表記で106倍すれば dB=20*Log10(1000000)ですから結果は120dBuで
これは1Vrmsとなります。このときの50Ω負荷における電力は13dBm、20mWとなります。単なる電圧表記なので何Ωの負荷に生じた
電圧かでその時の電力の値が違ってきます。
(通常SGでは50Ω出力インピーダンスになってますから50Ωに1Vの電圧 (20mW、13dBm) を加えるにはSGの表示出力を6dBプラスして
126dBuに設定しなければいけません。)

なお、一番上の表の下半分は蛇足で送信機のパワーをdBmで表示すると解り易いという意味で付け足しました。1KW局の出力は60dBm。
0dBmは1mW、50Ω負荷で107dBu、223.6mVrmsです。

ある雑誌から 「dBmとdBu」 に関する記事を参考の為ここに転記しました。

THD、IMDなど増幅器のひずみ。

下の写真は2KHzサイン波、2KHz矩形波、また7100付近のツートーン波形を、オシロスコープとスペクトラムアナライザーで見た写真です。
時間軸で掃引するオシロスコープの波形と比べると、周波数の成分を表示するスペクトラム アナライザーの波形はずいぶん印象が
異なります。(オシロではきれいに見えるサイン波形もスペアナでみるとひずみだらけです。ソースは KENWOOD AG203。)

  2KHzのサイン波形です。   2KHzの矩形波。   7100KHzと7101KHzのツートーン波形。
     
     

ひずみの種類

次の用語はアンプ素子の動作上発生するひずみの表現で、主にオシロで観察した波形からひずみを分類しています。
従って直接的にTHDやIMDを 意味するものではありません。 クロスオーバーひずみはB級プッシュプルアンプで正の半サイクルから
負の半サイクルに移行するポイント(またはその逆)の非直線性によるひずみ、 サチレーションひずみはゲインオーバーで、オシロで見ると
いわゆる頭がつぶれた形を示すひずみです。
どちらもオシロで見える現象からひずみを表現したもので、悪ければその結果はTHD悪化にもIMD悪化にも つながります。
その他、PIM (passive inter modulation) distortion 受動相互変調とでも訳すのでしょうか?ケーブルやコネクターなど
ある接合点で伝送系に非直線性が生じてひずみと共に不要なスプリアス電波などを発する現象ですが、小電力の我々アマチュアにはなじみの
うすいひずみです。

高周波アンプのIMDを測定するときの注意

リニアーアンプなどのひずみを測定する場合、注意しないと高周波アンプの動作がひずみの原因ではないのにひずみのバー
が出現することがあります。低周波におけるツートーンに高調波ひずみがある場合下図のように周波数の高い方に同じ次数のひずみ
は同じレベルで左右対称に出現するはずが、左右が不対象のひずみ特性となって現れます。
グラフのメモリが 0、500、1000、1500 となっていますが、0 は例えばキャリアー周波数の 7.000MHzに相当し、モードはUSBとすれば、
基本波の1本(1000Hz)は7.001MHzと考えて、他のひずみはこれより高い周波数に出ているものとしてご覧ください。

スペアナ画面
 

高周波アンプのIMDを受信機のオーディオ出力をFFT解析したグラフはどうなるのでしょう?受信機自体アはひずみのない理想的
なものとして、送信機本体のIMDと入力したオーディオツートンのTHDがともにある状態の FFT画面です。

  
FFT画面

ひずみを測定するとき、スペアナでは多少の掃引時間がかかる為
短時間にひずみの変化を確認したい場合はFFTの方が
リアルタイムに変化が見えて便利です。

但しスペアナの高調波を直接観察している訳ではなく受信機で
低周波に変換された信号を間接的に見ている訳ですから
厳密には受信機のひずみも加算されることになります。

左図:基本波1000Hzの2倍高調波2000Hzと3倍高調波3000Hz
基本波1500Hzの2倍高調波3000Hzは元々のIMDひずみに加算
してTHDひずみがある為ひずみの高さが上昇しています。
(1500Hzの3倍4500Hzのグラフは省略しています)
いずれにせよ、基本波の左右のIMD特性がアンバランスで
あれば低周波の発振機の動作を確認することです。
ウィーンブリッジタイプの発振機では発信するぎりぎりのところが一番ひずみの少ないポイントになります。ステートバリアブル方式
安定でひずみも少ないです。

惑わせるカップリング-コンデンサー

ハムを始めた中学生の頃は少し低域の音をブースとしたいからと、所かまわずカップリングコンデンサーの値を大きくしたものです。
交流回路のインピーダンスという概念もなく、10uFなら100Hzくらいまで出て、0.1uなら中域からしか出ないと半ば宗教のように思っていました。
さて、交流回路におけるコンデンサーのインピーダンス(交流回路における抵抗値のこと)は Z=1/ωC という式で表されます。
ωは 2*π*f のことなので書き換えると Z=1/(2*π*f*C)、となりCをuFとすると Z=1000000/(2*π*F*CuF)になります。
例えば100Hzにおける0.01uFのインピーダンスは 1000000/(2*π*100*0.01)、結果は159KΩです。1KHzになれば15.9KΩです。 
何が言いたいかというとコンデンサーの抵抗値は周波数によって変わるということです。
このことを踏まえて置けばカップリングコンデンサーで通る交流信号は受けとなる次段の入力インピーダンスによって大いに変化すると
いうことが納得いくはずです。
図面上のように抵抗だけの分割なら周波数に無関係で出力は一定です。
この場合ですと OUT=R/(R+R)になります。10K、10Kなら1/2(-6dB)に減衰されます。
Zと表現した図面下ではコンデンサーの抵抗値が周波数によって変化するので
交流に対する抵抗(正確にはインピーダンス)分割に周波数特性が出てきます。
0.01uFを入力Cにして、次段の10KΩ、1MEGΩの抵抗にカップリングすると分割の結果は
100Hzでは10KΩの場合 10/(159+10)=0.059倍 (-24.6dB)、1MEGΩの場合 1000/(159+1000)=0.86 (-1.3dB)
1KHzでは10KΩでは 10/(15.9+10)=0.38倍 (-8.4dB)、1MEGΩでは 1000/(15.9+1000)=0.98 (-0.2dB)です。
下のグラフは0.01uFを次段の抵抗10KΩと1MEGΩで受けたときの周波数特性を simulate したものです。
オペアンプの入力インピーダンスは非常に高く、通常は外部につけた抵抗値などでインピーダンスが決まって
来ます。結果は1MEGΩのインピーダンスでは0.01uFとはいえ30Hzくらいまでほぼフラットな特性です。
(青が10KΩのインピーダンス受け、緑が1MEG受けのグラフです。その回路は右の図面。)

   

オーディオ帯域においても、「低音を出すには高い容量値のCが必要」など、次段のインピーダンスの考えもなっくコンデンサーの値にのみ
こだわるステレオタイプな考え方( stereotype 通りいっぺんな考え方)は交流を理解していない証拠です
教科書に載っている f=1/(2*π*R*C) の式を思い出してください。このポイントで交流信号は3dB変化し位相は45度ずれます。
上の結果を当てはめると、0.01uFを10kΩで受けると-3dBポイントは1.592KHz、1MEGΩで受けると15.9Hzになり、グラフとよく一致しています。

蛇足ですが、高周波領域にこのようなCの考え方を適応すると事態は深刻です。
例えば3.500MHzにおいて100pFは455Ωのインピーダンスを示しますが、その搬送波に乗った低周波信号の100Hzは (USBでは)
3.5001MHzで同じく455Ωになり、低周波の1KHzは3.501MHzで、(この程度低周波周波数が変わっても) 100pのコンデンサーの
値は455Ωのインピーダンスそのままです。それらの差異は次段の高周波回路の入力インピーダンスを勘案するまでもなく全くの誤差範囲です。
従って、例えば真空管ファイナルアンプのプレートからπマッチコイルへの結合コンデンサーの100pFを120pFにすると「より低域が出る」
というコメントは「本当らしくて、もしかしたら・・低音でるかな?」ではなく、逆に真っ赤な〇〇と言う事になります。

入出力インピーダンスの測定

本来、交流回路のインピーダンス測定は虚数部分も測れるインピーダンスブリッジなどを用いるべきですが簡便な方法として抵抗を利用しても
概略は測定可能です。純抵抗は周波数特性を持たないため、低周波であれ高周波であれ(LとかCの)虚数部分を気にする必要はありません。

左の図は素子の入力インピーダンスを測定する方法です。
まず、SGからの信号を何も付けないオープンの状態で 高インピーダンス
測定器 (オシロスコープの1/10プローブなど) でVR端の電圧を測ります。
例えば200mVとします。
次にVRを介してインプットされるべきデバイスに入力し、その入力端子
(この図では3番ピン)の電圧を測ります。VRの値を変化させ3番ピンの電圧
が先ほどの半分、この例では100mVになるVRの値を保持し、
後にテスターでVRの値を読みます。
例えば10KΩだったとします。SGの出力インピーダンスが600Ωなら600+10KΩでこの素子の入力インピーダンスは10.6KΩとなります。
このようにある周波数を入力してオープン電圧の半分になる抵抗値を求めれば簡単に回路のインピーダンスを測れます。
一般に入力インピーダンスは高い傾向にあり1MEGΩなどはざらです。こうなるとオシロの1/10プローブでも回路の電圧測定に影響を
及ぼします。多少面倒ですがオペアンプをボルテージフォロアー接続(左下の回路です、3番ピンはかなりの高インピーダンスになります。
Vin=Voutで電圧の変化はありません。)を使ってプローブ端をさらに高インピーダンスにして
測定する必要があります。
【そこまでしなくてもSGから1MEGオーム程度をシリーズに入れて(必要なら合わせてCも
シリーズにして)出力がそれほど落ちなければ「こいつはかなりの高入力インピーダンスだな!」
程度の認識で事足りることが多いです。】
高インピーダンスの回路は外部のノイズやハムを拾いやすく、高周波信号の回り込みも
起こしやすいです。必要な場合以外、回路はローインピーダンスで組み上げるべきです。
一番上の図面、右は出力インピーダンスの測定方法ですが、この場合は出力のオープン電圧を測り、負荷としてVRを付け、
その電圧が半分になるVRの値を求めます。回路の整合が取れたときは信号は6dBダウン(半分)になる原理を利用したものです。
図面はオペアンプを例としていますが、TRアンプ回路、フィルター回路、ミクサー回路、どのような回路であれ同様の手順で計測します。
例えば3.5MHzのアンプ回路でオープン電圧が200mVあったものが50ΩのVRをつけると電圧が半分の100mVになったとすると、そのアンプの
出力インピーダンスは50Ωということになります。

リプルフィルターってご存知ですか?

スイッチング電源や3端子レギュレータのノイズは除去しづらいものです。ラインのインピーダンスが数十ミリΩとも言われ、数千μのCを
入れてもなかなか綺麗な直流になりません。電流容量は使用するトランジスターによりけりですが、特にノイズを嫌うトップのマイクアンプや
VCO、それに位相比較器などわずかなノイズでも問題になる所にはこの rippple filter はうってつけです。
下の写真、左は無処置のスイッチング電源の出力、右は回路図面にある2SC1815のリップルフィルターから、いずれも約10mAを流したとき
のオシロスコープ波形です。

左右は同じ条件で測定した写真です。一目瞭然、かなりきれいになっています。FFTで解析した写真もありますがオシロスコープの写真で
その効果は納得されるでしょう。回路は簡単なものです。



リップルフィルターを通すことにより10mA程度であれば約0.6Vの電圧降下ですみます。流す電流により電圧降下は変わりますから注意
してください。負電源のレギュレータがいる場合はPNPタイプのトランジスターを使用します。いずれにしてもこの程度のTRでは電流容量は
少ないので必要な箇所だけに使用するようにしてください。3端子使用時、特に5V出力の3端子で出力電圧のドロップがCMOSの動作に
影響するときは右端のようにGND間にダイオードを入れて出力電圧を5.6Vにかさ上げしてリプルフィルターの電圧降下分をキャンセルします。