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コンデンサーマイク用:ファンタム電源の製作。

コンデンサーマイクに必須のファンタム電源は非常に高価です。数万円 もするSONYの電源が壊れた機会に内部を分解し修理しましたが
使用されているオーディオトランスを見て・・・??の感想。なら、と言うわけでそれ以上の特性を目指して自作することにしました。
型名 TPS-3S 600Ω:600Ωのトランスは7千円(?)もしましたが使用感は良好です。(秋葉原のノグチトランスで購入)
写真ではステレオ用に2系統が映ってます。

   

出力電圧24V×2の電源トランスから整流後、約65Vの直流を得て、24Vの3端子レギュレータを2個使用して48Vを作ります。ハムが混入しない
よう平滑回路は厳重にします。流れる電流はマイクによって 1mA-数mA と異なり、最終的な出力電圧は45V近辺になります。

マイクアンプとウィーンブリッジ2トーン発振機

特に変哲もない一般的なマイクアンプ回路です。この辺で一挙に増幅して1-2Vrmsにしておくと後段でのノイズ混入を防げます。

 

 マイクからの入力部 ferrite beads はFB801 に4回トライ
 ファイラー巻きの高周波の回り込み防止バランです。
 平衡型アンプ、いわゆるインストルメンテーションアンプ
 を構成し、次のリミティングアンプに入ります。
 右図、ウイーンブリッジのツートーン波形は5Kオーム
 のボリュームの位置によってTHD(全高調波ひずみ)の
 良し悪しが分かれる様子を示しています。
 発振が止まるぎりぎりがTHDが最小になるポイントですが
 発振の安定度にも関係するので少し戻し気味にして
 ください。スペアナ画面では発振するぎりぎりの位置で、
 出力は約6dB低下しています。
 FETのドレイン-ゲート間にNFBをかけてよりひずみの
 少ない発振を期待しています。
 安定的な発振になるまで数十秒かかるので送信機に
 設置する場合は回路の電源は送信しなくてもオンにして
 おいてください。
 
 

状態変数型超低ひずみ発振機

ウイーンブリッジ型に対して非常にひずみの少ないタイプです。高周波パワーアンプより前の100mW程度のSSBジェネレータ内では
まだIMDは-60dB以上の世界でしょうから、そこでのIMD測定にはそれなりの低ひずみの発振機が必要です。2トーン発振器のTHDが
-80〜-90dBくらいを必要とするのなら少々面倒でもこのstate variable type発振機がいいと思います。
THDが悪い場合の例。1000Hz基本波の2倍高調波は2000Hzになり、それは1000Hzと1500Hzのツートンの上側の3次IMDと2000Hzで
重なります。つまり下側の周波数の高調波を高い方の3次IMDと勘違いすることが起こります。
従ってTHDひずみが多い2トーン発振機を使っていたら、関係のない後段のアンプのIMDが悪いと錯覚する袋小路にはまってしまう場合が
あります。。
スペアナやFFTでIMD特性を観察しているとき、どうも下の3次IMDに比べて上の3次の方が高い、なんで3次や5次の高さが左右で
違うんだ?
なんていうときは案外ツートン発振機の高調波に問題があるのかも知れません。見落としがちなポイントです。IMDを測定する2トーン
発信機はそれなりの信頼できるものを作成すべきです。
なお、右下の回路図面中、OPEアンプ出力からVRにつながっている「68KK」は「68K」の間違いです。かなりゆっくり発振を起こしますので
定常状態になるには2〜3分かかります。従って送信機に設置する場合は電源は常にONにしておかないと必要なときにテストできません。

   

低周波リミティングアンプ

ミクサーやパワーアンプでは設定範囲のレベルでないとIMDの悪化をきたします。
一定レベルを超えるとゲインを抑えるリミティングアンプはきれいな電波、良好な音質を保つうえで大変重要な回路です。詳しいデータは
ウェブサイトで見てもらうとしてM5283Pはひずみが大変少ない、アッテネーションレベルの感度が高いデバイスです。
0-5ボルトの変化で95dBほど出力をコントロールしています。下図左側ではかなりの電流食いだということ、右側では0.4V-2Vくらいの
範囲で直線的にアッテネーションさせていることが解ります。

初期設定の電圧が2ボルトでは微少入力でも常にリミッティングがかかって、常に圧縮がかかる少し奇妙なオーディオ信号になります。
回路図面で初期設定を4.5Vにしている意味は、あるポイントまではリミティングがかからないがそのポイントを越えると十分に圧縮して
出力を既定の電圧範囲に抑え込むという事です。
またこの回路の特徴は制御電圧を得る整流が両波整流になっている点です。片波整流ではマイナス側に振れる信号には反応しませんので
所謂「片手落ち」になります。両波整流すると周波数が倍になり後での直流化がやさしい、ひいては「再変調ひずみ」を起こしにくいという
メリットがあります。図面の中にアタックタイムとレリーズタイムを決める200Ω、2.2u、1MegΩは好みにより設定してください。
後ろにAB1級のリニアーアンプがある設定では第1グリッドを絶対にプラスに振らせたくない。それならリミッティングアンプは必須です。

ジェネレータにセットされている現用のリミティングアンプの写真です。ステレオ用なので2系統あります。

半固定VRは上からUSB用出力レベル調整、その下はリミッティングレベル設定、さらに下にLSB用リミッティングレベル、LSB出力レベル調整、
右はどのポイントでリミッティングがかかるかのスレッシュレベルを決める設定用です。

SSB信号専用イコライザーアンプ  PSNに興味はなくてもこれは実験の価値がありますよ!

 マイクアンプ基板に同居して組み込んでいます。イコライズの UP DOWN のボリュームも図面にあるSWも前面パネル
 に出すスペースが無かったので基板上に半固定のVRと、音量をUPさせるかDOWNさせるかは3Pのコネクターピンを
 どちらかにショートさせる方法でやっています。
 通常のオーディオアンプイコライザーと異なるところはQの高さです。ハム用のSSB信号に許される 3KHzの
 狭帯域内では一般的なイコライザーは全く効きません。下図は回路の100Hzと3400Hz付近を最大限ブーストした
 状態の特性です。目的の周波数付近だけの音量をコントロールできます。
 下の回路図面の場合、最大値 13.5dB のブースト又はドロップさせることができます。
 デュアル型オペアンプ2個で簡単にできますから是非トライしてみてください。
 

下の写真。通常の通信時はこの特性に近い状態でしょうか・・。低域を4dBほど、高域を8dBほど持ち上げています。
もちろん逆にゲインを落とすこともできます。好み次第ですが、PSNの場合は低域はDOWNさせた方が明瞭度のいい音質になる場合が
多いようです。

回路図面です。コントロールボリュームにはセンターがアースされている特殊なものが要りますが種類が限られ
又手にも入りにくいので右側のようにスイッチにより UPするか DOWNするかを決めています。
イコライズレベルは出力の 2KΩとフィードバック抵抗 10KΩの比率で決まります。3KHz付近のバンドパスフィルターはよく検討し通過周波数
を測定してから使用してください。通過帯域がずれると3KHz以上の無関係の周波数をブーストすることになります。図面のC、ここでは0.033u
を主とした要素で決まります。(後に記述しているエクセルファイル参照して計算してください。)

概してSSBの音をイコライザーで修飾するのは「愚の骨頂」と非難され、現実に音響用イコライザーでローブスト、ハイブーストすると
音がこもったり、シャリシャリしたり、所謂「ドンシャリ音」になり、ときには低音効きすぎの「風呂場の音」(恐らくQが低いことが原因)で、
やり過ぎは返って「品」のない、聞き苦しく、明瞭度悪く、あるいは「キーキーした」耳が痛くなるような、疲れる音質になります。
(ポリフェーズPSNでのSSBの場合はその特性上、何も細工をしなくても所謂、「ドンシャリ」になります。)【20年前作成ポリフェーズPSNの写真
イコライザーの本来の意味は Equalizer イコールにする、つまりはマイクの周波数特性が
凸凹のときに足りない所は増強し、出すぎる所は抑え、平均化してマイク特性が実音に近い
電気信号なるように補正するのが本来の役目です。LOUDNESSのように迫力のある
ドンシャリ音を作るという意味ではありません。さて、音にこだわり音に振り回される局長多く
いい音質を求めて何万円 もするマイクを次々と買いあさり、「マイク遍歴」を繰り返す
御仁も居てこの世界は大変です。ここで紹介したグライコはせいぜい数百円でできるセット
ですから数十万円のプロ用マイクに行く前に是非一度試してください。
ほどよい加減にローを抑えたり、ハイを少しだけブーストしたり、所謂高尚な手順を踏めば
案外引き出しの奥にしまってあった、かつて気に入らなかったマイクが生き返ることがあるかも知れません。ただし、
イコライズ操作をしても音色が変わる訳ではありません。フェーズノイズまみれの搬送波
によるSSB発生、また電源ハムで濁った局発信号による周波数変換、さらにアンプのIMD
悪化による「ダミ音」、これら音色そのものを決定付けるものと、マイクの周波数特性とは
何ら関係ありません。音のにごりに関して、この回路では改善できないのは言を待ちません。
人それぞれに音質の好みが異なります。エクセルで自由に設計できるようにファイルを
アップロードしておきます。
バンドパスフィルター(upやdownさせたい周波数)のCやR1、R2、,R3を変えてお楽しみください。1万円の平凡なマイクが数十万円の生録用
のマイクに変身すると思わずニンマリです。回路のQを高くすることをお忘れなく。ステレオアンプに付いている一般的な音響用グライコ
はSSB用イコライザーとしては全く使えません。

★イコライザーの設計ができるエクセルファイルをダウンロードできます。★